兄貴の想い
しばらくして、ヒデと彼女が部屋から出てきた。
『ちょっと出掛けてくるよ。夕飯はいらないから。』
とヒデは母に言っていた。
『あまり遅くならないように彼女を帰してあげなさい。』
『わかってるよ。8時には帰るから。』
といった定番の会話がなされた。
私はすかさず
『私も行く!』
とダダをこねた。
『やめなさい!!』
母は怒る。
『連れて行ってやればいいじゃないか。』
と呑気な父。
『……。』
困った顔で彼女を見るヒデ。
そこで彼女が苦笑いで一言。
『いいよ。一緒に行こう。』
私は慌てて支度した。