capriceー夜明けー
あたしはバンドを組んでいてボーカルをしている。
メンバーはあたしをいれて五人。
今日はそのバンドのライブの日なのだ。


楽屋につくとメンバーの海がもうくつろいでいた。
あたしに気付いた海は、今飲んでいたペットボトルのジュースをこっちに向けるなり言った。

「飲む?」

「飲まんっ!」
即答だ。

海、小枝原海はあたしの幼なじみでバンドではベースを担当している。

あたしの好きな人だったりする。
だからこんなこと言われたら顔に出ないか心配で大変なのだ。


「今日は空と別々に来たんやー?」

空っていうのはもうひとりの幼なじみで、うちのバンドはツインボーカルなんやけど、そのひとり。
病院の跡取りとかいわれてるけど本人にその気は全くないらしい。

「おー。あいつ最近つれん。」

「彼女できたんちゃうん」
「ないないない…あいつはそんなんつくらんやろ笑」
何を思ってこんな発言してんのかこの人は。

「なんでないんよーだいたい空なんかめっちゃモテるやん?」

「そらな。こないだなんか買い物行った時逆ナンされまくっとったで」

「えーやん、モテるんやったら彼女できるやん」

ガチャッ

ドアが開いて空が入って来た。
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