幼なじみ
 テーブルに向かい大人しく、宿題をしていた朱音が、なんの前触れもなく言った。

「ねぇ、孝史は彼女いないの?」

 ブッ
 口に含んだコーヒーを吹き出しそうになった。

 朱音は、言葉を選ばない。いつも思った事を思ったまま口にする。

「…いたら、お前の相手なんてしてねぇよ」

 直球に動揺を隠し、いつも通りを装った。

「ふ~ん」

 ふ~んって、人に爆弾投下しといて、その反応はないだろ?

「お前は、どうなの?」

「いないよ~」

 朱音はサラリと答える。勉強がわからない、と言うときと全く変わらない調子で。

「ふ~ん」

 心の中では、万歳をしつつ、俺も朱音の真似をしてみる。が、朱音の反応は全くと言っていいほどない。

 なんか、俺って、虚しくね?
 まぁそんなのは、今に始まった事じゃないけど。









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