幼なじみ
 幼なじみというのは、なんて甘くほろ苦い関係なんだろう。

 家族ではない、もちろん兄弟なんかじゃない。なのに、家族のようにいつも一緒だった。家族のように育った。

 それが、いつのころからか変化していった。
 男だの、女だの、今さら意識してしまうなんて、どうかしてる。


 なんとなく居心地の悪さを感じた俺は、朱音に言った。

「朱音、悪い。今日は帰れ」

 ゆっくり振り向いた彼女の顔は、緑色の、…カエル!?

「うぉ!?…なんでいきなりお面!?」

「きゃはは~、孝史驚きすぎ」

 朱音は、カエルのお面をしたまま笑い続けている。
 そんなに面白い顔をしていたのか、俺は。

 まったく、人が悩んでるときに、のんきな奴だよ。








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