幼なじみ
「…笑いすぎだ」

「ねぇ、孝史。覚えてる?このお面」

 なおも、お面で顔を隠したまま朱音は言う。

「ああ、覚えてるよ。昔、花火大会の時に買ったんだよな」

「そう。孝史が、土手から転がり落ちて、草だらけになったよね」

「変な事ばっかり覚えてんなよ」

 そんな事を言いながら、俺は朱音の様子がおかしい気がしてきた。


「ねぇ、今年も一緒に行ってくれる?」

 カエルの顔で朱音が尋ねる。

「あぁ」

「来年も、再来年も、その次の年も…」

「朱音?」

 俺は様子がおかしい朱音が心配になって手を伸ばす。
 そっとお面を外した。







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