君色 **空色**
エスカレーターを下り終えて、地下鉄の方に行くために右手に曲がろうとすると、私は突然に後ろから腕を掴まれた


「え?え!?」


驚いて振り返ると、彼が私の腕を掴んでいる

戸惑っている私に、彼は「なぁ、少し付き合ってくれない?」と静かに言った


『これは……どういう事?』


状況が把握しきれず、「な、何に?」と彼に尋ね返してみる私


「……観覧車乗りに行かね?」


『え、どうして?』という言葉は、何となく喉の奥で止まってしまう

彼の真剣な、と言うより不安そうな顔でそう言われてしまうと、そう尋ねてどんな答えが返ってきたとしても、きっと私はそれに応じてしまう気がした


「良いよ」


だからそう言って、私は静かに笑った


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