君色 **空色**
「あのさ、私っ――――」

「返事」


断わりの返事を入れようと言葉を発した私を、彼はすぐに遮った

まるでその後に続く言葉を知っているように


「返事、家に帰ってもう少し考えてからにしてもらえないか?」


そう言って、彼は私をまっすぐ見ている

この人は、きっと本当に良い人だと何だかそう感じた

だったら、なおさら私には似合わない


「24日にさ、OKなら大学のツリーの前に来てよ」

「え?」

「断るなら来なくていいからさ」


私の今の気持ちを知ってか知らずか、彼は1人でどんどん話を進めていく

ここで断る方が、彼の為ではないのだろうかと考えた私だが、彼自身がそうしてくれと言っているのだから、私はそれを受け入れるしかない


< 129 / 292 >

この作品をシェア

pagetop