君色 **空色**
その言葉を喉で止めて、私は違う言葉を口にすることにした


「…………今、私は動けないんだけど、どうしたら良い??」


突然の私の言葉に、彼は「はぁ??」と素の驚きを見せた

ナイスな反応だけれど、実はこちらも私としては切実な問題だったりする

久々に観覧車に乗った理由はここにある

先ほどの私の言葉に驚いた彼が動きそうになるのを、制して私は横の手すりにつかまった


「揺れる!!観覧車が揺れるから!!!」

「は!?え、まさか……」

「高所恐怖症です……」


私の突然のカミングアウトに、次は彼の目が点になっている


「先言って!!乗る前に言えって!!」


そう言いながら、彼は少し呆れ顔

その顔を見ると「そんな顔しなくても良いじゃない。相談事があるのかと思って、いちだい決心で来たというのに」と文句を言いたくなる


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