君色 **空色**
ゆっくりとその時計塔に近づいていくと、見覚えのある青色

近づいて見ると、彼は目を閉じて、音楽を聴いていた

何となくそのままゆっくり彼の後ろに回って、私は静かに彼を観察した

無防備に立ったままの彼を見ていると、何だかイタズラしたくなってしまう


この無防備状態……


そう思って思いついたイタズラを、私はさっそく実行してみる

彼の膝に自分の膝を近づけ、彼の体勢を崩させる

つまり、いわゆる『膝カックン』だ

思いのほか綺麗にきまってしまう、膝カックン

その事に驚きと笑いをこらえながら、私は「引っかかるなよ、ばぁーか」と彼に声をかけた

私のその言葉に、彼は驚いた顔をしてこちらを振り返る


うーん、相変わらずの良い反応だねぇ


そう思いながら、驚いたまま言葉を失っている彼に「手、出して」と要求する

驚いたまんまの彼は、私の言葉に素直に手を差し出すので、その手に私は1組の手袋を乗せた

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