君色 **空色**
「うぅー……恥ずかしいから離して下さい……。もう泣いてないから!」


絞り出すようにそう言うと、彼も「うん、俺も恥ずかしい……」と言って私を解放した


だったら、もっと早く離してよ!!


と思うけれど、それを言ったら何となくマズイ気がして、言葉を飲み込む

その代りに「もう、帰ろ?」と言って、私は彼を見つめた


「私、今日夕方からバイトなんだけど……」

「あ、俺も」

「ですよね~。たしか前に岩崎くんバイトだって言ってたのに、おかしいなって思ってたのよ。しっかりしてぇ、先生!!」


まさか、バイトを忘れていたわけ!?と思いながら、私は帰り道への1歩足を踏み出す

ここからは、クラスメートじゃなくて恋人

何だか変なの、と思いながら、私たちはツリーの下を離れた


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