君色 **空色**
待ち合わせの駅で彼らを待っている間、私は最近お気に入りの音楽を流していた

彼が教えてくれた曲

彼があの日教えてくれた、大好きになったアーティスト

久しぶりに会う彼は、どんな顔をしているだろうかと考えるだけで、笑みがこぼれる


またあの笑顔?


『早く会いたいなぁ』と思いながら、私は両手に息を吹きかける

久しぶりに会うからって、張り切りすぎただろうか?

彼の友達もいるとは言っても、私からしたらある意味初デートだ


変なのっ
私うかれてる?


緩む頬を両手で覆って、落ち着こうとした瞬間、後ろから肩をトントンと叩かれた

それに心臓が飛び出すほど驚いてそちらを振り返ると、そこにいたのは待ち遠しかった彼の姿


「明けましておめでとう」


新年お決まりの言葉を彼にかけて、私は満面の笑みを送る


「おめでとう」


私の挨拶に、軽く答える彼の声は、電話ごしでない久々の声

嬉しくて、顔がニヤけそうなのを、私は必死で隠した


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