君色 **空色**
『失礼な!』と思っていると、目の前に見えてきたのは明らかに学校

校門までくると、何故か門は無防備に開ききっていた


「このご時世、こんだけ無防備な学校も珍しいな……」


「自分の母校ながらも、恐ろしい」と彼は言いながら、誰もいないグランドを通りぬけて校舎近くの階段に腰掛ける

それに倣うように私は彼を追いかけていくと、その横に腰かけた

私がキョロキョロとあたりを見渡していると、彼が不思議そうに私にここに来た理由を尋ねた


「だって、知りたいじゃない?岩崎くんがどんな高校時代を送っていたのか」


そう言って私がニッと笑うと、彼に色々質問にしていく


「この様子を見ると、さすがに元旦は野球部の練習休みだったんだね~」

「ん?あぁ、さすがにね」


私の質問に、苦笑しながら彼は答えると「にしても、懐かしいな~」と呟いた


「なぁ、学校の中入ってみよっか?」


ふと何かを思い出したかのように、突然彼はそう言うと、立ち上がって私の手を再び取る


「え!?」


思わず上げた声と共に思った事はただ1つ


『ま、また手が……』


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