君色 **空色**
窓までの高さはそれほどない

おまけに彼が使った台があるために、少し足を上げちゃえば簡単に入れそうだ

問題は、そのポーズで入ると校舎の内側からはかなり際どい情景になるか、丸見えだという事だ

何がといわずとも、今日の私の恰好は若干ミニスカートだ

チラリと、中を覗いてみると、彼はまだ懐かしさに浸っているのか、こちらを振り返ってはいない


『えぇい!行っちゃえ♪』


トンと台に登って、私はそのまま窓をまたいで、廊下へと着地する

その時響いたパンプスの踵の音に、彼は驚いたようにこちらを振り返る


「お前、その恰好でこの窓越えたの……?」

「越えたよ?ちょちょっとね♪」


「ま、こんな入り方したのは中学が最後だったけど」と言いながら、私はペロッと舌を出す

驚く彼の顔が、いつもの半笑いに戻ると、私たちは彼の3年生の時の教室がある3階へと向かった


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