君色 **空色**
「楠木先生」


しかし次の瞬間、その力が再び肩に戻ってくる

突然の彼の言葉に「な、何言ってんの!」と小さく言って、彼から離れようとする


ダメだ

この体勢で声かけられたら、耳に近すぎるって!!


どうにかして彼から離れようとする私の気持ちをからかうように、彼は再び耳元で囁いてくる


「楠木先生、ドキドキしていますか?」

「なっ!べ、別に!!」

「顔熱いですよ」


『絶対面白がっている』

それだけは自信を持って言えるが、この状況の回避の仕方が分からない


ダメだ、このままじゃドキドキしすぎて涙が出てくるんですけど……


すでに若干涙目の状態になっている事を気にしながら、唸り声のような声をあげていると、彼はようやくゆっくりと私を解放した


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