君色 **空色**
「じゃあ、私がナレーション読むから、岩崎くんは他の役ね♪」


ニッと笑って私は彼にそう言うと「ちゃんと役になりきってね~♪」と付け足す


「なりきってねぇ~♪」


亮太くんが私のマネをしてそうリピートすると、嫌そうな顔をしていた彼も、何も言えずに私の言葉に従うしかなかった様子


『いっそ、ずっと亮太くんがいてくれたら、私は無敵なのに』


そう言ったらきっと、また意地悪な事を言うか、されるんだろうなぁ~と思ってしまうところが既に敗北している気もする

そんな考えを振りほどくと、私はナレーションを担当し、彼に桃太郎以下その他の役を強制担当させる

しかしこの後、私は彼がしかめっ面で棒読みする桃太郎に笑いをこらえるので必死だったというのは、また別のお話


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