君色 **空色**
「はい、どうぞ。陽菜ちゃんも飲んで飲んで!」


そう言って彼女は私に飲み物の入ったグラスを渡した


「え、あ……私、お酒はちょっと……」


飲んだ事のないお酒を彼の家族の前で飲んで、醜態をさらした日には最悪だ

そう考えて、彼女の申し出を断ろうとした私に、彼女は「お酒じゃなくて、ジュースよ」と笑いかける


「それなら……」


それなら受け取らないと悪いかと思い、私は彼女からグラスを受け取った

グラスに口をつけると、飲んだ事のない味がする

不思議に思いながらも、出された1杯位は飲むべきだろう

そう考えて、彼女たちの話を聞きながら、少しづつグラスの液体を体内に流していく

いつの間にか寝てしまった亮太くんを見ながら、私は彼女たちの話す彼の高校時代の話を聞いていた


「陽菜ちゃん、これ見てみる?」


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