君色 **空色**
そう言ったのは、孝太さん

声のする方へ振り返ると、彼は手に厚みのある本を持っていた

それは説明されなくても分かる、アルバムだ

ニッと笑いながら、孝太さんがそれを持ってテーブルに広げた


「あいつがいたら、確実見れないからね」


イタズラ好きの子供のように孝太さんは笑うと、ページをめくっていく

その中にあるのは、彼の生まれた頃の写真


小学校、中学校、高校……


こうやって見ると、意外と亮太くんも岩崎くんに似ているかもしれない

幼いころの感じが少し似ている

亮太くんも半笑いが似合うかな?と苦笑しながら、私は残っていたグラスの中身を飲み干した

その瞬間に歪む世界

その後覚えているのは、広子さんや綾那さんの声――――――


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