君色 **空色**
彼はすぐに自分の分は取らずに私の方にプリントを渡すと、アシスタントの先生に声をかけようとした

しかし、中々気が付いてくれない

それを見ながら、私は思わず苦笑してしまっていた


「何か、中々気づいてくれへんね」


私は小声で彼にそう言っていると、ようやく彼らは彼に気がついて、テスト用紙を手に入れる事が出来た

テスト開始の合図とともに、用紙を表に向けて問題を解き始める

テスト自体はそれほど難しくない

元々統計学がしたくて、この学部に入ったのだから尚更

興味のあるものには、めちゃめちゃハマるタイプの私は、この講義は比較的起きていた方だ

だから、テストを解くのもほかの教科より真剣になってしまう

一通り解き終わって隣を見ると、隣で彼はうつ伏せになって寝ている体勢をとっていた

そうして彼は退出許可がおりると、私より早く教室を出た

だからこの日は特に話さず、1日が終わりを告げた


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