君色 **空色**
「もう少し足に力入れてみ?力で負けて滑っちゃんじゃないかな~?」


見かねた彼が私にアドバイスを始めてくれる

それを繰り返しながら、私は何とか止まれるようになり、滑れる距離が長くなってきた頃

「ただいま~」と元気よく山下くんとその彼女、宮下佳奈さんが帰ってきた

私たちの近くまでやってくると、山下くんはゴーグルを外してニッと爽やかに笑う

その隣で宮下さんは、その美人な顔に似合う笑みを浮かべていた


「お帰り~」


スキー場に着くや否や「ちょっと2人で滑ってくるわ」と言って、さっさとリフトに乗って消えてしまっていた2人

思う存分滑ってきたのか、彼らはすがすがしい顔をしている


「翔太~そろそろスノボー行く?」


その言葉に、元々この旅行は彼ら2人がスノーボードをするために計画を立てていたものだと私は思い出した

「ん?あぁ」と思い出したかのように彼は返事を返すけれど、チラリを私の方を心配そうに振り返った

どうやら私の事を気にしているよう


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