君色 **空色**
頭を撫でる手から逃れると、私の反撃開始だ


「ふふふ、そうよ♪私も中学生なんだから!だから『ヒヨコ』は止して!!」


とりあえず反抗の言葉を辰にいに向かって言う私

でも辰にいは私のどの部分をとっても、勝っている

背は私よりもずっと高い

同級生の男子は、私より低い人だっているのに、辰にいと比べたら私は彼の胸に頭が届くか届かないかくらいだ

頭を撫でる手は、私の顔を包み込んでしまいそうなくらい大きい

撫でられる瞬間に香る香りは、苦いコーヒーの香りとタバコ

お母さんの話によると、頭も超がつくほど賢い


「ダメ~ヒヨコはヒヨコじゃん」


それでも、ニカッと笑う彼の顔は昔から変わらない

どんなに背が大きくなっても、声が低くなっていても、スーツを着るようになっても

彼の笑顔だけは、出会った頃と変わっていなかった


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