君色 **空色**
反撃をあっさりかわされた私は、いつものように諦めて彼の隣りを並んで歩く事にする

他愛のない日常の話に花を咲かせていると、あっという間にバス停までの距離は終わりを告げてしまう


「それじゃあバイバイだね……辰にい、また明日ね!!」


名残惜しいところだが、ここで別れて中学に向かわなくてはならない


「あ、ちょっ……」


先ほどまでとは違う歯切れの悪い辰にいの方を振り返ると、彼は少し考える表情をしていた


「ん?何?辰にい??」


『何か言い忘れ?』と考えながら、私は辰にいの言葉を待つ

でも辰にいの言葉は「あ、やっ……気をつけて行けよ!!」という、いつものように私を子供扱いした、まるでお父さんみたいな言葉だった


「子供じゃないもーん!!大丈夫だもん!!んじゃ、行ってきまーす♪」


プクッと膨れてそう言うと、私は中学校へ続く道を駆けて行った


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