君色 **空色**
「辰哉くんから聞いてるでしょ?」


「辰哉くん、もう単位は取れてるし、教授のススメもあって明後日からアメリカに留学するのよ?」


あめりか?
アメリカって何の事??


ようやく回転しだした私の頭に浮かぶのは無数の疑問だけ

2人の言っている事が理解できない

まるで異国の言葉で話されているかのように


「お邪魔しまーす。お袋ここにいますよね?」


そんな風に混乱している私の耳に届く、1人の声

その声の主が誰か脳が理解した時には、彼はすでにリビングを通り抜けて、私のもとにやってきていた

後ろを振り返ると、辰にいの姿

見上げた位置にある辰にいの瞳と私の瞳が合わさって、一瞬時が止まったような感覚を覚えた

しかしそれも、一瞬

サッと目をそらすと、私は何も言わずに辰にいの横を通り抜けると、自室へと駆け上がっていった


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