君色 **空色**
私はいつもそうだ

何かを堪えていても、言葉にした途端にすべてが溢れ出て来る

きっと言葉にした事で、その事に確信しているのだ

認めてしまうから、すべてが溢れかえって来るのだろう


「私は……私は辰にいの妹みたいに、家族みたいなものだって思ってたのに………私はそんな事さえ教えてもらえないんだね………」


静かに、喉の奥から私は溢れ出てきた言葉を音にしていく

その言葉を言い終えた途端、鍵の付いていないドアがバンッという音を立てて開いた

音に驚いて顔を上げた時には、私は辰にいの腕の中にいた

痛いくらいに強く抱きしめられて、私は辰にいを感じていた

服を隔たっても感じる辰にいの体温

でも、そんな温もりも一瞬のうちに消えていく


「妹なんて思ってない!!」


彼から発せられた言葉に、私は体の奥の部分が痛くて、喉が詰まりそうになった


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