君色 **空色**
私は一体何をされているの?


そう思った瞬間に、私は「っ…やっ!!」と口から言葉を出して、全身で辰にいを拒絶していた

思わず出た言葉と、行動に驚いて顔をあげると、辰にいの表情はとても切なげだった

その表情に、先ほどと同じくらいの心臓の痛みを覚える


「……悪かった」


彼はそう小さく言うと、私に背を向けて部屋を出て行った


どうして、辰にい?

さっきのは一体何だったの?

初めて辰にいを怖いと感じた

いつも優しい辰にいの、私の知らない部分を見た気がした

でも同時に、苦しい

怖かったけれど、辰にいのあの表情が頭から離れない

ねぇ、辰にい

さっきの『好き』って何?

私も辰にいが『好き』だよ

だって、家族のように思ってるんだから……


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