君色 **空色**
「開けて良い?」


彼女がそう言うので、私は「別に良いよ?」と言ってお風呂に入る準備を始めた


「………」


包みを開けたはずの彼女はなぜか沈黙している

不思議に思って彼女の方に目をやると、彼女は包みを元の状態に戻そうとしているところだった


「何が入ってたんですか?」


不思議に思った私が彼女にそう尋ねると、彼女は少し困ったといった表情を浮かべた

視線を私から逸らして、彼女は黙っている

立ちあがって彼女のもとに行き、その包みに私は手を伸ばした


「あっ……いや開けない方が……」


そう言って彼女は私から包みを遠ざけようと体の向きを変えた

その瞬間に彼女の手元から包みが落ちた


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