君色 **空色**
「ま、待った??」


慌ててながら階段を降りて、私が彼にそう尋ねると、彼は「待ってない」と私から視線をそらして言った


あれ?なんか不機嫌……


不思議に思いながら、その理由を考えていると、彼が「今日はもう授業終わり?」と私に尋ねてきた

その問いに肯定の言葉を返して、私は彼の隣りに並ぶ

彼の表情を窺いながら「岩崎くんは?」と尋ねてみると、「俺も終わり」と彼は言う

どうして不機嫌なのかは不明だけれど、とりあえず沈黙が流れるのがイヤなので「んじゃ、帰ろっか」と言って、私は大学の門へと歩き出した


「ごめんね~授業サボって……まさか、辰にいに会うなんて思わなかったよ!」


特に会話の話題が思い浮かばず、私は先ほどまで一緒にいた辰にいを話題に出してみた


「しかも相変わらず私の事コキに使うし!!」


辰にいの文句をタラタラと述べて歩いていると、突然黙っていた彼が私の腕を掴んで、足を止めた


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