君色 **空色**
次の日の朝

行くか行かないか悩みながら、私はいつも通りの時間に家を出た

いつも通りと言うのは、彼の家に寄る事を前提とした時間だ

佳奈ちゃんに言われたとおり、いつも通りにしていればいい

そう自分に言い聞かせながら、私は電車に乗り込み見慣れた彼のマンションに向かった

カチャリと音を鳴らして鍵を開けてドアを開くと、そこはいつもと違って甘い香りで満たされていた

ゆっくり部屋にあがって台所の方に向かうと、ロック調の音楽まで聴こえてくる

台所で料理中の彼

後ろからひょこっと覗くと、どうやらホットケーキを作っているようだった


「おいしそぉ~」


思わず思った事を口に出すと、彼がもの凄く驚いた顔で私の方を振り返った


絶句している彼に、とりあえず「おはよ。珍しいねぇ」と挨拶すると私はホットケーキを入れるお皿を出し始めた


「いっただきまーす!!」


結局あの後、材料を足して2人分のホットケーキを作った彼

その様子を見ると、今日は私が来ないと思っていた様子


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