君色 **空色**
そんな彼の様子にためらいながら、私は言いかけた言葉を紡いでいった


「あ、えーと……。でね、今日だけ辰にいの手伝い行って良いかな?昨日、約束しちゃってて………」

「え゛……」


私の言葉に、明らかに嫌そうな表情を浮かべる彼に「やっぱダメ?」と私はきまり悪く彼を見つめた

弁解するように「今日の手伝いが終わったら、あとはゼミ生に任せなさーい!!て言ってくるからさ」などと言っていると、彼は小さく「……良いよ」と言った


「昨日はちょっと……どうかしてたんだ、だから気にしくて良いから」


そう言う彼だけれど、相変わらず怒ったような拗ねたような表情をしている

彼の言葉に「そう?」と表情を窺いながら私が言うと、彼は思い当ったかのように「あ、でも何時に終わる?」と私に尋ねた


「えっと放課後だから……7時くらい?」

「そっか、分かった」


彼はそう言って頷くと、またホットケーキを口に運んだ


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