君色 **空色**
「こんなもんかな♪辰にい、私もう帰るよ~!今度からはコキ使うなら、ゼミ生にしてよね!!」


7時を回った頃、ようやく部屋が研究室として機能しそうな感じに仕上がった

用事も済んだ事だし、心配かけた岩崎くんの家に寄ってからさっさと帰ろうとした私は、かけてあったジャケットとバックに手を伸ばした                                                                                  


「え!?送ってくよ、陽菜家遠いし」

「いらないわよ!私も子供じゃないのぉ~!!」

「子供じゃないか……昔よく言われたな」


辰にいの申し出を軽く断りつつ、ジャケットを羽織っていると、古いイス独特のキィっという音がして、辰にいがイスから立ち上がっていた


「陽菜……」

「どしたの、辰にい?」

「辰にいって呼ばないでって言ったのにな……」

「何昔の話してんの?辰にいは辰にいじゃん」


早く帰りたいんだけどな~

そう思いつつも、ここで幼なじみと昔のように気まずくなるのも気が引けるので、会話を続けていく


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