君色 **空色**
「つまりは、お互いの親のせいで、俺たちは結ばれなかったと」

「仮説だけどね。いつ会えるか分からない相手に想いを寄せるより、近くにいる人とと幸せになってもらいたかったのよ、きっと」


「うは~余計なお世話」と辰にいは呟くと、元の座っていた席に腰を下ろした


「あーあ……ちなみにあのガキと付き合いだしたのっていつ?」

「ガキって言わないでよ!えーっと……去年の冬」


「こんな事なら、さっさと帰ってきたら良かった」と呟く辰にいに、私は「ご愁傷様」とだけ呟いた


「ってか、陽菜……何か言うようになったなぁ~」


あきれ顔で言う辰にいに、「そうしたのは、辰にいだっての」と言って頬を膨らました


「そうなん?良く分かんねーけど、そっちのが良いかもな。何か言いたい事ためられてる方が、訳分かんなくて不安になるから」

「そう言うもの?」


「そう言うもの」と言いながら、辰にいはスーツからタバコを出すと、それに火をつけた


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