君色 **空色**
「………良いです。やっぱり出すのやめておくんで」


少し考えてから、そう言って私はポストとは逆の道、バス停の方へと歩きだした


あの人に手紙を出さなくなったのはいつからだろう?

最初の頃はずっと出していた

毎日毎日

手紙だからその日の内に届くはずなんてないのに……

彼から手紙が来なくなったのはいつからだろう?

待っても待っても来なくなったのは……

それは結構早かった気がする

きっともう、忘れなきゃいけない事なのに、私は全く忘れられていない――――


今学期最初の授業である、説明だけの体育を終え、久々トモちゃん達とお昼を食べに、私は早足で社学に向かった


「久々~♪」


そんなセリフの後は、2ヶ月も会っていないなんて思わないくらい、いつも通りの会話が始まる

「さっきの講義どうだった?」とか「次の授業は何か?」なんて話だ


< 35 / 292 >

この作品をシェア

pagetop