君色 **空色**
社学からひたすら歩いて、芝生を横切ってようやく目的地にたどり着く

エレベーターを使って4階まで上がろうと思ったが、あまりにも女子が並んでいたので、私は階段を昇っていくことにした

長い階段を昇りきって教室のドアを開けると、全く知らない人ばかり

小さなゼミみたいな授業だから、こういう時は自由気ままに授業を取っている事に不安になる

端っこの席に座って、ケータイをいじっていると隣に1人の男の子が座って来た

しばらく特に会話もすることなく、時間が流れる

しかし、何だか私はこの沈黙が耐えられなくて、彼に話しかけてみる事にした


「ねぇ、1人??社学ですか??」


年上には見えないけれど、年上の可能性もあるから一応敬語を使う

そうやって声をかけたら、彼は人の良さそうな笑顔で言葉を返してくれた

彼の名前は沼田啓吾

同じ社会学部の1回生

私と同じように1人で来ていて、この教室に入って感じていた事も同じ

だから普通に会話が弾んだ


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