ロマンス@南国
「ふーん」


 あたしがそう言って、エレベーター内にこもっていた外国人観光客の放つ、不快な類の腋臭を嗅ぎ取りながら、


「いいわよ」


 と言った。


 意見が合ったあたしたちは狭苦しく感じるボックスを出て、外へと歩き出す。


 あたしと喬は並んで、ホテルのフロントにキーを返しにいった。


 外の蒸し暑さを屋内からも感じ取れるぐらい、あたしたち二人は島特有の熱気を感じていた。


 常夏の島とも今夜が過ぎればお別れである。


 スーベニアーズショップで、あたしたちはお揃いのペアリングを買うため、店内を見て回った。


 あたしはシャツの下に汗を掻いていたし、喬も同様のようで、パタパタと煽(あお)りながら、ゆっくりする。


 島に着いてから、何気に時間が経っていたが、あたしたちは二人とも時間がどのぐらい
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