ロマンス@南国
楽しむ。

 
 南国の澄んだ青空が見られるのも、今日限りだ。


 日本に着けば、あたしも喬もまた夜の仕事に追われる羽目になる。


 だが、互いに仕事があるのはいいことだった。


 失業しているよりも、雇われて仕事を与えられていた方がいいからだ。


 あたしはコーヒーを飲み終えると、旅行カバンに荷物を詰め込み始めた。


 日本から持参していたものは全て詰め終わり、あたしはカバンにチャックをする。


 午前九時過ぎで空が明るい。


 喬も追って起きてきて、あたしが淹れて冷蔵庫の中で冷やしておいたコーヒーに気付いたらしく、カップを手に取って、中身をゆっくりと啜り取る。


 そして一口啜った後、口を開いた。


「今日が最後だね」


「ええ」

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