ロマンス@南国
 週末ぐらい、互いの部屋で同棲できればそれでいいと思っていた。


 あたしはそういった点に関してほとんど気にしていない。


 その日の正午、あたしと喬は一緒にホテルを出、タクシー乗り場に停まっているタクシーを一台捕まえて乗り込んだ。


「トルガブール島立空港お願い」


「OK」


 ドライバーがあたしの言葉に頷き、ギアを入れて車を出す。


 排気ガスを大量に撒き散らしながら、タクシーが一路空港へと向かう。
 

 あたしは車に揺られながら、喬の手の上に自分のそれを置いていた。


 時間が流れ、あたしたちは行きと同じく、島のメインストリートを突っ切って空港へとひた走る。


 あたしは時折車外に目を移しながら、飛び込んでくる景色をケータイのカメラで写す。


 カシャリカシャリ……。


 何度もボタンを押して、綺麗な景色をカメラに収めた。
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