ロマンス＠南国
「一応ね。ただ、ホステスでも一番下だったわ。指名も少なかったし」


「そうだったんですね……」


　喬が言葉尻に含みを残しながらそう言い、言った後、


「俺も前は一番下っ端から入ったんですよ。高校中退した後、やることがなくてブラブラしてて、それでたまたま歌舞伎町に行ったとき、その手の誘いを受けてホストになったんです」


　と言い、ゆっくりと息をつく。


　話によると、喬は都内にある三流半か四流ぐらいの私立高校を一年で中退して、それからブラブラと遊び歩いていたらしい。


　親元にいたから、両親に小遣いをせびりながら、都内のいろんな場所で遊ぶのを繰り返していたようだ。


　喬の父親の洋祐は昔かたぎの人間で、どうしようもない放蕩(ほうとう)息子を十八になったら家から追い出すと言っていたらしい。


　そして実際洋祐は喬が誕生日を迎え、十八になった日に、彼を追い出した。


　だが、喬は全く困らなかったようだ。

< 30 / 119 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop