ロマンス＠南国
　そう正直に思えた。


　それぐらい、さっきまで冷えていたドリンクは辺りの暑さで温くなっているのだ。


　あたしは丸々一本ボトルの中身を飲み干してしまい、ゆっくりと息をつく。


　あたしも喬もしばらく滝を見ながら、体から力が抜けていく感覚を覚えた。


　人がたくさん集まる観光地に来ているということが一番の原因だろう。


　あたしたちはいつもたくさんの人が行き来する東京に住んでいる。


　あたしは仕事から六本木の自宅マンションに帰ってきて、室内に入ると思わず吐息が漏れ出る。


　それだけ銀座の店ではしっかりと体を張っているのだ。


　客商売というのは実に難しい仕事なのである。


　あたしにはそれをやり遂げる力が十分あったし、実際、クラブのママをやるというのはきつい。


　あたしは自分の仕事に年々疲労を覚え始めていた。


　何と言うか、一日が終わるたびにそれまでメンタル面で入れていた力がいとも簡単に抜
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表紙・目次

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