ロマンス@南国
 喬はいくらあたしと年齢が離れていようが、愛する者として認めてくれていた。


 それは紛れもない事実のようだ。


 そしてあたしも彼が抱いている愛情の分だけ、愛することが出来る。


 あたしと喬は一回り年が違うものの、十分愛し合えていた。


 それは言葉の端々から窺えるし、実際あたし自身、彼がいないと寂しくてしょうがないのだ。


 いくら銀座で店を持っていて、夜は多数の客が飲みに来ようが、案外異性との出会いは少ない。


 それにあたしはこれから滝見物を終えて、ホテルに戻ったら、シャワーを浴びてセックスしようと思っていた。


 喬も応じてくれそうで、あたしは滝を見ながら、同時にその上空にまで目を上げる。


 青い空があって、雲は一つもない快晴だ。


 昼過ぎで南国だからか、あたしたちは自然と眠気が差し、あたしが居眠りしないよう目を覚まして、


「ホテルに戻りましょ」
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