ロマンス@南国
と言った。


 喬が頷き、あたしたちはゆっくりと滝から二十メートルぐらい離れた場所にあるタクシー乗り場でタクシーを一台捕まえる。


 そして二人で乗り込み、運転手にホテル名を告げ、車を出させた。


 あたしは後部座席の背凭(もた)れに凭れ込みながら、ゆっくりしている。


 喬もさっき食べたソフトクリームの味が口の中に残っていることに戸惑いを覚えながらも、窓の外の景色を見て寛ぐ。


 あたしたちは各々、二人で過ごすバカンスが楽しいものとなるよう願っていた。


 それは恋人同士だったらとても自然なことなのだ。


 なぜなら愛を求め合うから。


 そしてその込み上げる愛情をより確かめ合いたいと思っているからである。


 あたしと喬は車内でも手を繋ぎながら、車がホテルに辿り着くのをじっと待つ。


 その間、あたしたちは手と手を乗せ合い、互いの体の熱を感じ取っていた。


 部屋に着けば、まずシャワーである。
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