<短編>美しいさよならをしましょう
あの日


いつもの部屋で
いつものように
身体を重ねるあなたとわたし。


行為を終え、
愛し合った証拠の熱気で
酸素の足りない頭がくらくらするのを抑えながら
わたしはベットから起き上がった。


「もう帰るの?」

わたしが下着を履いてるのを見ながらあなたはシーツから顔を出し、ため息をつきながら聞いた。


「子供が学校から帰ってくるから。」

あなたを一目も見ずに答えるわたし。
そんなわたしの態度に、不満を抱いたのだろう。
いらいらしたような声であなたは言い放った。

「…子供、子供って…」


何言ってるの?
あなた、それを承知でわたしとの関係続けてるくせに。


その言葉が、口から出そうになった。
だけど、あなたの方を一瞬見て、視線を戻しまたボタンを掛ける行為に没頭するわたし。


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