<短編>美しいさよならをしましょう
なにかわからない感情が
涙を押し寄せてる気がした。
気付いたら
携帯の画面が見えなくなるほど目に涙をためていた。
見えない…
見えなくなっちゃう…
あなたからの
愛の言葉が…
ぐしゃぐしゃになりながらわたしは涙を手で拭った。
夫の翔太が驚いた顔で立ちすくしていた。
わたしが急に泣き始めたからそうなるのも当然だろう。
「…どうした?幸恵。」
夫が中腰になって携帯を覗こうとした瞬間、わたしは携帯をとっさに閉じた。
「携帯小説よ。感動しちゃって。ごめんなさい。」
わたしは上手く笑えてるだろうか?
夫は渋々、理解したような顔をしていた。
「さ、ごはんにしましょ!」
わたしは立ちながら携帯をポケットに入れた。
大事な大事な
あなたからの
最初の愛のメッセージ。
大切にもう失うことないようにしよう。
そして
あなたに
わたしの素直な気持ちを聞いてもらおう。