<短編>美しいさよならをしましょう
その時
携帯にメールの着信音が鳴った。
その音を聞いた瞬間、体が跳びはねるほど驚いた。
それと同時に
幸せな感情が胸いっぱいに広がるのを感じた。
和幸…!
料理中だったため、濡れた手で触れた携帯が少し濡れてしまったが、そんなのも気にしない。
和幸
早く、早く…!
震えでボタンが上手く押せない。
もどかしい感情が広がっていく。
その時、気付いた。
わたし、
和幸のこと
忘れられない。
愛してるから。
忘れるなんてできない。
ということに。
あまりの衝撃に携帯を落としてしまった。
どうして…!
和幸はわたしのことなんて、遊びだと思ってることなんて
わかってるはずなのに…
いや、まずは深呼吸をして落ち着こう。
落とした携帯を拾い、落ち着いてメールを開こう。
大丈夫、大丈夫。