あの風の向こう側へ
浩美は顔を上げて、


「オーディション?なんの?」


と、聞いた。


「クラブの出演者募集があって…」


と、前田はギターを弾くマネをしている。


「おーおー、バンドか。何処でやるの?」


「川崎のクラブなんですよ。」


と、前田は待ってましたと言わんばかりの笑顔で答える。


「あっ、じゃあわりかし近いじゃん。」


「ええ、で、そのオーディションてのが店の営業時間中にやるんですよ。」


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