涙を流すような恋
第一章 逢いたい
水とキス
蝉が鳴き始めた初夏
もうすぐ夏休みが始まる時期
薄着に、春先より短いスカート階段をあがるときは、スカートを後ろ手で少し抑えながら
「良くないよ、こんなこと」
「なんで?」
「だって、もし人がいたら」
「だぁいじょうぶだって!こんな影った校舎裏なんかに人いないって!」
そう言いながら、バケツをひっくり返して、水を下に流した瞬間だった
「うッわ!?」
「げっ!?」
「えぇッ?!だ、だから言ったじ‥‥え?」
下から、人の声がしたと同時に、水を流した本人はあたしにバケツを押し付けて、さっさと逃げてしまった
「美穂ぉーー!」
「つっめてぇ」
「あ!あの‥…」
「あ?‥てめぇかよ?」
「あ…ちが‥…今、そっち行きます!」
あたしは、弁解するのをあとにして、一先ず下に降りることにした
だって、上から謝るなんて、よくないでしょ?