涙を流すような恋
―――−−‥…
「えと‥…ご、ごめんなさい!」
「…別に、あんたが悪いわけじゃないだろ?」
「でも‥…」
美穂(あ、あたしの友達ね!)が水をかけてしまった人は、濃い赤色のタイをした3年生だった
「…そぉだな‥そんなに責任感じてるなら、償うチャンスみたいなの、やるよ…」
「え‥?」
ふっと影った視界に、視線を上げるとぐんっとその人が近くなって、気づくと…‥
あたしは、ファーストキスを奪われてしまっていた
「…えっと‥今…‥」
「さっきのはただのお手本だ…」
「え?」
彼はあたしから離れて、壁を背もたれにして座ると、あたしを見据えて、ゆっくりと左手を上げた
「…‥来いよ…今度は、お前の番だ‥俺がさっきお前にしたことと同じことを、俺にしてみな?」
「…そ、そんなこと!」
「できない?‥…俺に水をかけたのに?」
「‥そ、それは…」
「‥…来い‥」
その熱く、鋭い目力と、ムシムシとした暑さに、頭がおかしくなってしまったんだと思う
「でも…あたし、こんな‥」
「…‥おいで‥」
「…ッ‥……」
踏み出した時には、あたしは差し出された左手を取って、彼の前に座ると、左手をついて身を乗り出して、そっと軽く触れて、すぐに離れた