<続>ゆきんこ
「…今旅行とか聞こえた気がしたんだけど」
「言った!」
「いや、気がしただけで…」
「言ったから!」
敦志はあくまで真剣な顔をして上目使いであたしを見てきやがる。
「何、考えてんの?」
「俺の叔父がペンションみたいなのやっててさ、都内だし、美香が良ければ行こうかなあと…や、駄目なら大丈夫だけども」
『旅行』…。
都内だし、って心配する辺り、つまりそれは泊まりで?
二人で?
旅行?
「だ、駄目ではないけど、」
「マジ?!」
そんなに嬉しいんかい…。
「でもそんなに空いてる日あんの?敦志学校どうすんの」
「近いって、言っただろ?土日で行きゃ問題ねー。日にちは美香に合わせるけど」
あんまり必死なもんだから、こっちもこっちで不信感が芽生える。
「そんなに行きたいの?」
そしたら敦志は顔を真っ赤に染めて、
「変な質問すんな…馬鹿」