<続>ゆきんこ


「いってきまーす」

月曜日。その日はいつもよりも1時間ちょっと早く家を出た。

いつもよりも、早く敦志に会える。

そう思うと、やっぱり嬉しさが込み上げてくる。

スケッチか…

『美術』なんて、懐かし過ぎる。

『勉強』なんて、中学から無縁なあたしは、その言葉の響きにどこか懐かしさを感じた。

…まあ、中三らへんは殆どサボってたけど。

敦志は、校門の近くで待ってる、と言った。

メールで。

他の生徒とかに見つかんないかな、なんて口にしないらへん、敦志は度胸がある方なのかもしんない。

あたしは、それなりに心配なんだけど。



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