マチルダ
マチルダは、ミシェルの人形。
そして、親友。
バタン!
マチルダという少女が寝ている静かな部屋に、勢いよく一人の少女が入ってきた。
寝ていたマチルダは驚きもせず、ゆっくり体を起こしてベッドに座った。
「マチルダ聞いて!お父様がね、また新しいドレスを買ってくださったの!きれいでしょう?」
そう言って自慢げにドレスを揺らし一回りする少女、ミシェル。
「きれい…すてきね、ミシェル」
マチルダは目を細めて、まるで自分のことのように喜んだ。
「それから、私は今日バイオリンのレッスンなの。だから、マチルダは部屋から出ちゃだめよ」
「うん!もちろん。頑張ってね」
裕福な家庭に生まれたミシェルは、幼いころからたくさんの人形やドレスを与えられてきた。
それはどれも高価なもので、庶民には手が届かないものばかり。
ところが、ミシェルは父親の買い与える人形に飽きてしまった。
そこで愛する娘のために父親が考えたのは、養子を入れること。
中でも美しく可愛らしい容赦のマチルダは、すぐに目を付けられ、選ばれた。