ほんとうに大切なもの
  

 正人と会う日になった。

一人の友達と会う感覚だった。

待ち合わせの喫茶店に到着した。
とりあえず、ミルクティーを注文した。

まだ、正人の顔は知らない。
電話番号までは交換したけど…今日が初対面。
少し、緊張してきた。


その時----


「いらっしゃいませー」

ウエイトレスの声で振り向いた。

入ってきた男性と目があった。

「もしかして、麻理子ちゃん? 正人です。はじめまして!」

「ユウ・・・・あっ……あの……麻理子です。はじめまして。」


どうしよう・・・

なんで!?


正人はユウヤと間違うくらいに似ていた。
私の頭はパニックだ。

顔も声もユウヤにそっくりだ。

正人は笑顔で私の向いの席に座った。

「やっと会えたね。はじめまして。麻理子ちゃん、緊張してるの?」

「あっ、はい。少し・・・」

いやいや、だいぶ緊張してるって。つぅか、驚きっぱなし。
何かの冗談かと思うくらい…


「麻理子ちゃん、行こうか。」


正人が車のキーを指でくるくる回しながら言った。

そっか、私は今日お金が欲しいために、正人に抱かれるために来たのだ。
心の準備をしてきたはずなのに…
とんだハプニングでまだドキドキしている。

でも、ユウヤ似の正人なら…

そんな風に一人で考えながら正人の車に乗った。


そして、建物の中へと入って行った。
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