ほんとうに大切なもの
「ねぇ、サヤちゃん。1度だけ行ってみない?初回だったら、値段も安いし、雑誌やメディアに取り上げられるような店だからボッタクリもないと思うから・・・。どう?」
1人で行く勇気なんてさらさらないから、サヤちゃんをダメ元で誘ってみた。
すると…
「そうねぇ、1回だけなら行ってみる?」
ホストクラブには【初回料金】というのがあり、1回目はかなりリーズナブルな設定になっている。フリータイムでフリードリンクもあれば、時間設定してフリードリンクやハウスボトルが飲み放題など店によって様々な設定があるのだ。
サヤちゃんも1回だけという条件で一緒に行ってくれることになった。
つい、嬉しくなってユウヤに早速メールをした。
―今度初回で友達と一緒に行きます。-
私は日程と時間帯を告げて緊張しながら送信ボタンを押した。
ホストクラブへは、あらかじめ指名するホストを決めて行くもよし、店で男メニューというのがあるのでその中から好みのホストを指名することなどできる。
私は初回で行く日を指折り数えながら待ち望んだ。
期待と不安でいっぱいだった。
何の変わり映えのない生活に刺激を感じる瞬間だった。
楽しみができた分、仕事もその分頑張れる。
数日後、
そしてとうとうその日が訪れた。
こんな庶民の私がホストクラブへ行くなんて・・・。
どんな服を着ていけばいいんだろう…。
テレビでは華やかなイメージや、ブランド品をまとっている女性のイメージしかわかない。
でも、お金ちゃんと払うから大丈夫だろう。
と、私は勝負服を身にまといこの日を臨むことにした。
とうとう着いてしまった【N&Y】
―今お店に着きました。
ユウヤに店に着いたらメールするように言われていたので、緊張もピークに達した震える手で送信ボタンを押した。
―はーい、今行きます。-
この白い扉の向こうにはユウヤがいる。